10人目として。

 

正直、アニメの物語を再現するでもなく、テーマソングはあれどまるで何をやるか検討もつかない中、東京ドームという舞台の特別さだけが浮いていたし、自身もそこだけに酔っていたと思う。ライブそのものに対するモチベーションは微妙だったし、ファンにありがとうを伝えると言われてもピンとこなかった。

 

しかし、蓋を開けてみればどうだろう。表題をいきなり回収するオーケストラの生演奏、開幕は先代の輝きをこの地で目の当たりにして歩み出した彼女たちのデビューシングル、2次元を3次元に再現するだけでなく、3次元から3次元にリメイクされる1st以来の楽曲たち。

 

フォームフィンガーをキャストが付けた時は笑ってしまったが、開演前の自分をぶん殴ってやりたいくらい非の打ち所がないセトリ。今までやり切れなかった衣装や演出をここで一度清算する、通過点に捉えたライブだったように感じた。

 

とは言え、始動してから何かと先代と比較されたり看板を背負うプレッシャーに負けそうになったりしたであろう彼女たちが、この東京ドームで輝く。僕なんかが10人目?ありがとう?と悩んでいたけど、「ここに連れてきてくれてありがとう」というのは彼女たちの素直な気持ちで、僕自身も素直に受け取ってもいいのかな?と思うようになった。今思えば、「ここに来られたのはみんなのおかげ。これからもついてきてほしい。」つまりまだまだ活動は終わりを見据えていない、あくまで通過点だったと再確認できた。

 

そして1日目の最後、まだまだ自分たちのことをラブライブ!を沼津を知ってほしい、みんなにも手伝ってほしいと訴えかけてきた彼女たち。翌日見事に回収されるのだが、この先更にコンテンツが拡大した時に「ドームの先には何があるのだろう」「ここがゴールじゃないと再確認できた今、まだ見たことのない景色を一緒に見てみたい」とその時思った。おこがましく聞こえそうだが、一瞬彼女たちと同じ方向を向けた気がする。

 

彼女たちは今までのコンテンツの常識を超えることを成そうとしている。彼女たちと一緒に進むことで近い将来、10人目のうちのひとりとしてその目撃者で在りたいし、その時どう感じるのか、どんな想いを抱くのか知りたいというのが今の純粋な気持ち。

 

躍動する姿への憧れとか青春の再体験とか、もちろんこのコンテンツの魅力だけど、向こうから受け取るだけのスタンスはお仕舞いにしたい。具体的にどうすればいいか探り探りでも、3rdだかで伊波さんが言っていた「相思相愛」の関係にいつかなれたらなと、身勝手だけどそんな風に思える日が来たらいいな。